Q&A

夫が不倫をしている様子で夫婦仲が険悪になり、妻の私が家を出て別居しました。夫は不倫をしていないと否定し、離婚にも応じないと言います。私は離婚したいのですが、裁判上離婚が認められるでしょうか。

[離婚]

<ご回答>

1 不貞行為と離婚原因

相手方配偶者に不貞行為がある場合、離婚原因となり、婚姻の継続が相当と認められる事情がなければ、他方の配偶者からの離婚請求が認められます(民法770条1項1号、同条2項)。

 不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。この場合、相手方の自由な意思に基づくかどうかは問わないため、夫が強姦した場合も不貞行為にあたります(最判昭和48年11月15日・民集27巻10号1323頁)。逆に、強姦の被害者は自由な意思に基づくとは言えず、不貞行為にあたりません。妻が売春した場合も不貞にあたるとされます(最判昭和38年6月4日・家月15巻9号179頁)。

 不貞行為に至らなくても、異性との間で性的非行があった場合には、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性があり、離婚原因に当たる場合があります。

 

2 不貞行為による離婚が認められなかったケース

 性交渉の回数は、たとえ1回であっても原則として、不貞行為に該当します。

ただし、裁判例の中には、2ヶ月間性的関係があったケースにつき、期間が短く一時の気の迷いと考えられるとして不貞行為自体を直ちに離婚原因とは認めなかったケースもあります(名古屋地判昭和26年6月27日民集2巻6号824頁)。もっとも、この裁判例においては、妻子の生活を顧みない夫の態度から、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして(民法770条1項1号)、別の離婚原因による離婚が認められています。

また、夫の不貞行為を理由とする妻からの離婚請求について、夫婦関係の悪化は経済的理由によると考えられるところ、一切の事情を考慮した上で、妻にとって夫との夫婦生活を続ける方がより幸福であると認められ、婚姻を継続するのが相当とされた裁判例があります(東京地判昭和30年5月6日・下民6巻5号896頁)。

 

3 不貞の立証

 不貞行為による離婚を請求する場合、相手方配偶者の不貞の事実を立証しなければなりません。不貞行為の相手方との同棲や妊娠などの事情があれば不貞行為の立証は比較的容易ですが、不貞行為自体は密室で行われるのが通常であるため、不貞行為の存在を直接立証することは困難です。裁判においては、不貞行為の存在を推認させる事実を立証して、裁判官の心証を形成することになります。具体的には、不貞行為の相手方と一緒にホテルへ出入りした場面の写真、不貞行為を認める内容の会話録音テープやメール、関係者の証言などを証拠として提出します。不貞行為が立証できた場合には、不貞行為を離婚原因とする離婚が認められます(民法770条1項1号)。

不貞行為の立証が困難な場合は、婚姻を継続しがたい重大な事由(民法770条1項5号)などの他の離婚原因をあわせて主張することになります。不貞行為そのものを立証できない場合も、夫の不誠実な行動、それにより夫婦関係が悪化し別居に至った事情、別居期間などを考慮した上で、婚姻を継続しがたい重大な事由(民法770条1項5号)があるとして離婚が認められる場合もあります。

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