判例事例

抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間不動産を用益した者が賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することの可否

◎(事案の概要)
  昭和16年10月5日、Aは甲土地についてその所有者と賃貸借契約を結び、甲土地上に建物を所有するようになった。昭和27年4月15日、Aが死亡し、Aの妻YがAの権利を承継した。その後、Yは甲土地上にあった建物を取り壊して、乙建物、丙建物を順次新築した。Yは甲土地の所有者に地代を支払いつつ甲土地を占有していたが、甲土地にはBのために平成8年12月20日に抵当権設定登記がされた。この抵当権設定登記の前に、Yの有する賃借権の対抗要件は具備されず、平成14年8月13日になり、乙建物及び丙建物についてY名義の所有権保存登記がなされた。
  平成18年4月3日、甲土地について公売のための差押えがなされ、X が公売により甲土地の所有権を取得した。
  XがYに対し、甲土地の所有権に基づき乙建物及び丙建物を収去の上、甲土地を明け渡すよう求めたところ、Yが賃借権の時効取得を主張。
 (論点)
  抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間不動産を用益した者が賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することの可否
 (判決要旨)
  不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に、当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合、上記の者は、上記登記後、賃借権の時効取得に必要とされる期間、当該不動産を継続的に用益したとしても、競売または公売により当該不動産を買い受けた者に対し、賃借権を時効により取得したと主張して、これを対抗することはできない(最高裁平成23年1月21日第二小法廷判決)。

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