判例事例

自動車部品に関するマーケットリサーチにより得られたデータの著作物該当性

◎(事案の概要)
  XがYに対して、Xが出版した書籍に記載されている自動車部品に関するマーケットリサーチにより得たデータをYがそのまま盗用し、あるいはデータの数値をわずかだけ改変するなどして被告が出版する書籍に記載したことが原告の著作権及び著作者人格権を侵害し又は一般不法行為を構成するとして、著作権法112条1項に基づき侵害行為の差止め等を求めるとともに、著作権法114条2項、民法709条に基づき損害賠償を求めた。
 (論点)
  自動車部品に関するマーケットリサーチにより得られたデータの著作物該当性
 (判決要旨)
  著作権法の保護を受ける著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう(著作権法2条1項1号)。したがって、ある著作物が著作権法の保護を受けるためには、その著作物は「思想又は感情」が表現されたものでなければならない。
  しかしながら、本件データは、自動車部品メーカー及びカーエレクトロニクス部品メーカー等の会社名、納入先の自動車メーカー別の自動車部品の調達量及び納入量、シェア割合等の調達状況や相互関係のデータをまとめたものであって、そこに記載された各データは、客観的な事実ないし事象そのものであり、思想又は感情が表現されたものでないことは明らかである。
  原告は、本件データは原告が独自に取材、調査し、それを総合的に判断し研究した結果であり、そこには原告の思想が創作的に表現されていると主張する。しかし、原告が主張していることは、原告の一定の理念あるいは思想のもとに本件データの集積行為が行われたということにすぎないのであって、集積された客観的データ自体が思想性を帯びることはないから、原告の右主張は失当というべきである。
  よって、本件データは著作物性を有しない(名古屋地裁平成12年10月18日判決)。

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